葉月(8月)の「おもてなし」

花暦歳時記 「蓮見」 期間 7月31日~8月5日

<一炉一会の蓮開花>

夏の盛りに、香りある美しい花をつける蓮の花弁は、十六枚が普通で
朝開いて夕方閉じるを三昼夜繰り返し、四日目には散ってしまいます。

暁闇を破って“ぽんぽん”と音がするが如くに咲く蓮の花は、一瞬の
気高い薫りに酔い、浮葉巻葉の間から先き競う蒼々たる花を賞する
「蓮見」の風流心でございます。

日毎に暑さが激しさを増す季節ともなれば 人の心もなえがちともなり
食欲をも衰えはじめます。古人は、早朝に蓮を愛でて涼を取るなどと
その風流心をお持ちのようでしたが、現代人の私達は中々そのゆとりも
なく、最今では「蓮畑」も身近には消えつつあるようです。

日々熱帯夜の続くせめてもの今宵は、「一服の涼」を皆様に差し上げたく
清涼感溢れる「蓮見と象鼻酒」を心行くまでごゆるりとお楽しみ下さい。

 「蓮」に因んだ先付け <お通し2品盛り・お一人様 540円> には
  風流「象鼻酒」(蓮酒)の一献 をお添え致します。
 
  ●蓮芋と笹身の茶豆ずんだ合え & 蓮根せんべい

因みに今週では 店内の一角に蓮畑を設え、夜咲く筈もない此の「蓮花」は
広島「爐談亭」監修により 当店独自の手法で咲かせたものでございます。

象鼻酒 (ぞうびざけ)

「 一服の涼 」

象鼻酒 (ぞうびざけ)いわゆる蓮酒とは、蓮の茎には蓮根と同じ穴が開いており
蓮の葉を漏斗代わりに冷酒を注ぎ、茎から滴れ流れ出る清涼感溢れる「蓮香の薫る美酒」を
爽やかに味わい 涼しさを楽しみむものです。

その姿が象の鼻に似ている所から「象鼻杯」とも云われ、3世紀頃の古代中国では
象鼻酒を飲めば3年寿命が延びるとし、客をもてなす最高の味わい方とされてきましたが、
我が国の茶席古文書にも残っております珍しい風流酒でございます。

さて、長月(9月)の「おもてなし」と致しましては、

五節句の最後「重陽の節句」を楽しみ頂きます。陰暦にすれば、菊の盛りなので「菊の節句」と称し
菊の花びらを浮かべて酒を飲むと云う「菊酒」は、邪気を払い命が延びると伝わっております。


監修・広島「爐談亭」